Nikon
W-Nikkor 35mmF2.5
Nikonos mount
全天候型か、それとも水中カメラか!?
W-Nikkor 35mmF2.5
Nikonos mount
全天候型か、それとも水中カメラか!?
ニコノスを水中カメラと呼ぶと、お約束のように「あれは全天候型カメラだろ!?」とツッコミが入る。ニコノスが登場したのは1960年代だ。フランスのラ・スピロテクニーク社が製造していた水陸両用カメラ「カリプソ」をベースに、自社製ニッコールレンズが使えるニコノスを開発した。生活防水を遙かに超えた防水性能を備え、水中、雨天、滝壺など、シーンを問わず撮影できる。レンズは広角から望遠までそろっており、水中専用、水陸両用、陸上防滴仕様など、そのタイプは様々だ。ここで取り上げるW-Nikkor 35mmF2.5は水陸両用レンズである。ニコノスは水中撮影を念頭において設計されているものの、全天候型カメラとして用いることも多かったのだろう。
水中カメラか、全天候型か。こうしたカテゴライズはさして意味のあることではないが、こと擬人化に関しては大きな意味をもつ。全天候型カメラとするならば、「土砂降りのなか傘をさす女の子」というイメージになる。水中カメラならば、問答無用で水着の女の子だ。ここでは水中カメラでいく。これは譲れない。譲りたくない。
先に述べたように、W-Nikkor 35mmF2.5は水陸両用レンズだ。水中と空気中では光の屈折率が異なるため、水中専用レンズは陸上だと無限遠が出ない。マウントアダプターでミラーレス機に付けても無限遠撮影はできない。ニコノス用レンズで陸上撮影できるのは、このW-Nikkor 35mmF2.5のような水陸両用レンズか、陸上用防滴レンズとなる。
本レンズはニコンSマウントおよびライカLマウントのW-Nikkor 35mmF2.5がベースになっている。ただし、その外観はきわめて異質で、大きなツマミが左右に飛び出している。向かって右側が絞りダイヤル、左側がピントダイヤルだ。フロント面には絞りと合焦距離のメーターが組み込まれ、コックピットの計器を彷彿とさせる。正直なところ、陸上で使いやすいレンズではない。画質だけを求めるのであれば、ニコンSマウントのW-Nikkor 35mmF2.5を使った方が快適だろう。このレンズを陸上で使うメリットをあえて考えてみると、グローブしたまま撮影セッティングできる点が挙げられる。ウインタースポーツ中の撮影なら、あえてこのレンズを使う意味も出てきそうだ。いっそ、水中カメラ用レンズで雪中行軍でもしてみるか!?